不動産売却を行う際は、不動産会社に依頼し、条件が合う買い手が見つかれば売却するという流れが一般的です。
また、中には第三者ではなく、家族や親戚などの親族に不動産を売却するというケースもあります。
今回は、親族への不動産売却におけるメリット・デメリットについて解説します。
親族に不動産を売却するメリット
親族に不動産を売却する主なメリットは以下の通りです。
・安心感がある
・売買条件を柔軟に設定できる
・相続対策になる
各メリットについて詳しく説明します。
安心感がある
親族に対して行う不動産売却には、安心感があります。
特に親族の中でも近い存在の子どもや兄弟姉妹、親への不動産売却は、急なキャンセルや高額な値引き交渉などの心配がほとんどありません。
売買条件を柔軟に設定できる
買い手が親族である場合、当事者間で売買条件を柔軟に設定できるのもメリットです。
不動産売却時には通常買い手から手付金を受け取りますが、信頼できる親族が買い手である場合、わざわざこのような形を取る必要はありません。
また双方が納得するのであれば、売買代金の分割払いなど、通常の不動産売却ではなかなか実現できない条件で契約することも可能です。
相続対策になる
親族に対して行う不動産売却は、相続対策にもなります。
不動産は相続の際、トラブルの種になりやすいです。
一方、相続する前に特定の相続人に売却しておけば、相続人同士の争いが起こりにくくなります。
親族に不動産を売却するデメリット
親族への不動産売却は安心感があり、融通も利きますが、以下のようなデメリットもあります。
・みなし贈与が発生する可能性がる
・特例が適用されない場合がある
・買い手が住宅ローンを利用できない可能性がある
各デメリットについて詳しく説明します。
みなし贈与が発生する可能性がある
親族への不動産売却では、みなし贈与が発生する可能性があります。
みなし贈与は贈与の意図がなかったとしても、受け取った側に実質贈与と同様の経済的利益がある場合、贈与があったと判断されるものです。
例えば親族同士の不動産売買では、明らかに相場よりも低い価格で売買するといった行動が、みなし贈与に当てはまることがあります。
また、みなし贈与があった場合、買い手は高額な贈与税を負担しなければいけません。
特例が適用されない可能性がある
不動産売却時、売主が利用できる特例の一つに3,000万円控除がありますが、親族同士の売買ではこちらの特例が適用されない可能性があります。
3,000万円控除は、居住用不動産を売却した際、要件を満たすことで売却益から3,000万円を控除できる制度です。
売主は3,000万円控除が適用されることで、税負担を軽減できます。
しかし、3,000万円控除は子どもや親、配偶者への不動産売却は対象外になっています。
買い手が住宅ローンを利用できない可能性がある
親族への不動産売却では、買い手である親族が住宅ローンを利用できない可能性もあります。
住宅ローンを利用する際、買い手は金融機関の審査に通過しなければいけません。
しかし親族間の売買では、ローンを別の用途に使用されるリスクや、売買契約書に不備が発生するリスク(個人間売買の場合)などがあります。
つまり金融機関にとってリスクが高いため、買い手が審査に落ちやすいということです。
もちろん、買い手が住宅ローンを利用できない場合、売主は一から第三者の買い手を探さなければいけないことになります。
まとめ
親族への不動産売却は、確かに買い手を探す手間が省けますし、双方にとって良い条件の契約が結べる可能性も高いです。
しかし、親族同士だからといって、必ずしも思い通りの売買が成立するとは限りません。
みなし贈与が発生したり、特例が利用できなかったりと、売主にとっても買い手にとってもデメリットが生まれる可能性があります。