不動産売却時の売り出し価格は、不動産会社が算出した査定価格や相場を参考にしながら、慎重に決定する必要があります。
また売り出し始めた後は、状況が芳しくないからといって、すぐに売り出し価格を下げてはいけません。
今回は、不動産の売り出し価格をすぐに変更するデメリットについて解説します。
手元に残る金額が減る
当然のことですが、売れないからといってすぐに不動産の売り出し価格を変えてしまうと、売主の手元に残る金額は減少します。
売り出し価格を決めるときは、一般的に買主の値下げ交渉を想定した金額にします。
つまり、最初からある程度は手元に残る金額が下がっているということです。
それにもかかわらず、安易に金額を下げてしまうと、売主が許容できる売却金額を取得できない可能性が高まります。
ローンが完済できない可能性がある
住宅ローンの残債がある物件を売却する場合、売り出し価格を下げることで住宅ローンを完済できない可能性があります。
理由はもちろん、返済に充てる金額が少なくなるからです。
また不動産は、住宅ローンが残っている状態で売却することはできません。
正確にいうと、抵当権を抹消できないため、買い手が見つからなくなる可能性が極めて高いです。
抵当権は、不動産の購入時に住宅ローンを組む際、借入先の金融機関に設定される権利です。
住宅ローンの返済が滞った場合、金融機関は抵当権を行使し、不動産を強制的に競売にかけて借入金を回収できます。
つまり住宅ローンが残っている物件は常に競売にかけられるリスクがあるため、好んで購入する方はいないということです。
そのため、売主は必ず住宅ローンを完済しなければいけません。
様子見をされる可能性がある
不動産の売り出し価格をコロコロ変えていると、買い手に様子見をされる可能性もあります。
短い期間で頻繁に売り出し価格が変われば、買い手が「まだ下がるのではないか」と考えるのは当然です。
また様子見をされる期間が長くなればなるほど、どんどん売却期間も延びていき、いつのまにか売れ残り物件になってしまいます。
このような状況になると、さらに大幅な値下げを余儀なくされることも考えられます。
まとめ
一度決定した不動産の売り出し価格は、正式な買主が決定し、直接値下げ交渉が行われるまで変更しないのが理想的です。
早めに売り抜けたい気持ちはわかりますが、焦って価格を変更しても状況が好転するとは限りません
また売却金額が下がってしまうと、新居の購入費用が足りなくなったり、住宅ローンを完済できなくなったりするリスクも高まります。