売主が自己都合で不動産売買契約を解除する場合、買主に対して手付金の2倍の金額を支払わなければいけません。
一方、買主に落ち度があるケースなどでは、売主はこのような負担なく契約を解除できます。
今回は、売主の不動産売買契約の解除が許されるケースについて解説します。
買主の債務不履行があった場合
買主に債務不履行があった場合、売主は問題なく不動産売買契約を解除できます。
債務不履行は、不動産売買契約の当事者が、契約で定められた義務を果たさない状態です。
例えば買主の場合、物件の代金支払いが遅れることや、契約時に取り決めた手付金を支払わないことなどが該当します。
これらはいずれも履行遅滞と呼ばれるものです。
また買主に債務不履行があった場合、売主は履行を催告し、それでも履行されない場合に契約解除の意思表示をすることが可能です。
買主が反社会勢力だった場合
買主が反社会勢力であることが判明した場合も、売主は負担なく不動産売買契約の解除ができます。
反社会勢力は、暴力や詐欺的手法を用いて経済的な利益を追求する集団や個人です。
具体的には暴力団や暴力団関係企業、総会屋や特殊知能暴力集団などが含まれます。
また不動産売買契約が成立した後、買主が上記の反社会勢力に当てはまることがわかった場合、売主は反社会的勢力排除による契約解除が可能です。
こちらを適用するためには、不動産売買締結時、買主が反社会的勢力ではないことを確認し、もしそうであると判明したら契約を解除できる条項を盛り込む必要があります。
合意解除の場合
合意解除の場合も、売主は特に金銭などを負担せず、一度締結された不動産売買契約を解除できます。
合意解除は、売主と買主の合意に基づき、すでに成立した売買契約を解除するというものです。
つまり売主も買主も契約解除に納得しているのであれば、売主は冒頭で触れた手付金の2倍払いなどを行う必要がないということです。
また合意解除が成立するケースは、主に買主の重大な予定の変更によって行われることが多いです。
例えば結婚を前提に購入した不動産の契約について、婚約破談を理由に解除するケースなどが当てはまります。
まとめ
不動産売買契約は、完全に契約が成立するまで、基本的に売主買主ともにペナルティは発生しません。
また契約後であっても、前述の通り売主は一切負担なく不動産売買契約を解除できる可能性があります。
しかし、売主に債務不履行などがあった場合、買主に不動産売買契約を解除されてしまう可能性もあります。
特に物件の引き渡しが遅れる、物件に契約内容と異なる欠陥があるといったトラブルには注意が必要です。