親から相続した空き家を所有する方の中には、手続きが面倒なことや物件が遠方にあることなどから、処理を後回しにしがちです。
空き家の売却を先延ばしにしてしまうと、物件価値が落ちたり、周辺住民に迷惑をかけたりすることにつながります。
今回は、売却を先延ばしにすることによる、その他のデメリットを解説します。
遺産分割の難航と認知症による資産凍結リスク
売却を先送りしている間に所有者が高齢化すると、認知症による意思能力の低下という致命的なリスクに直面します。 法的に意思能力がないと判断されると、不動産の売買契約や媒介契約を結ぶことができなくなり、実質的に売却不可能な資産凍結状態に陥ります。
これを解消するには成年後見人の選任など複雑な手続きが必要になり、多額の費用と時間がかかります。
また所有者が亡くなり新たな相続が発生すると、配偶者や子供、さらには孫の代まで権利が枝分かれし、関係者が増えるほど意見が対立しやすくなります。
先送りした結果、親族間の人間関係が泥沼化し、誰の手にも負えない幽霊物件として放置されるケースが後を絶ちません。
負の認知定着による周辺相場の地盤沈下
空き家が放置されて見た目が荒れていくと、その物件だけでなく地域全体のイメージ(ブランド力)を損なうというドミノ倒しのようなデメリットが発生します。
ネット上の地図航空写真やストリートビューは定期的に更新されるため、世界中に“管理されていない家がある荒れたエリア”という情報がデジタルタトゥーとして残り続けます。
これにより、周囲の治安悪化や活気の低下を懸念した買い手が集まらなくなり、結果として自分の空き家だけでなく、周辺一帯の不動産相場そのものを引き下げる原因になります。
いざ売ろうと決意した時には、地域の需要自体が完全に冷え込んでいて、当初想定していた価格の何分の一かでしか買い手がつかないという経済的損失につながります。
火災保険の拒否・打ち切りと無保険状態
多くの方が「空き家でも火災保険に入っていれば安心」と誤解していますが、ここには大きな落とし穴があります。
一般的な火災保険は“住宅物件(人が住む家)”を対象としていて、誰も住んでいない空き家はリスクが高い“業務構造物(店舗や倉庫と同等)”とみなされるケースがほとんどです。
売却を先送りして空き家期間が長くなると、保険会社から契約の更新を拒否されたり、保険料が数倍に跳ね上がったりします。
最悪の場合、保険が適用されない無保険状態のときに、放火や漏電で火災が発生すれば、建物が灰になるだけでなく、隣家への延焼補償などですべての資産を失うことになります。
先送りによる保険の質の低下は、所有者を一瞬で破産に追い込むほどの破壊力を持っています。
まとめ
空き家の処理は確かに面倒なケースがありますが、そのまま放置していても何も良いことはありません。 今後特に活用する予定がないのであれば、遠方の空き家であっても、早めに処理することが望ましいです。 先延ばしにすると、所有者やその親族だけでなく、空き家とは一切関係のない方まで負のスパイラルに巻き込んでしまう可能性があります。
