不動産売却時には、隣地所有者立ち会いのもと、当該土地の正確な面積を図り、境界を確定させなければいけません。
こちらが確定測量であり、実施することで土地の正確な価格を決定できます。
ここからは、不動産売却の確定測量で起こり得るトラブルについて解説したいと思います。
不動産売却の確定測量におけるトラブル5選
不動産売却時に行う確定測量では、以下のようなトラブルが生じる可能性があるため、売主の方は特に注意してください。
・ブロック塀の区切りが境界ではない
・境界標が判断基準にならない
・隣地の所有者が亡くなっている
・隣地の所有者が同意してくれない
・建物が越境している
ブロック塀の区切りが境界ではない
隣地との間にブロック塀が存在する場合、境界トラブルは起こらないと考えている売主もいるかもしれませんが、決してそうとは限りません。
ブロック塀で表す境界線は、所有地側の塀の側面にある場合もあれば、隣地側の塀の側面や、塀のちょうど真ん中にある場合もあります。
また、そもそも塀が境界線ではないケースもあり、実際境界がどこになっているのかについては、事前に法務局に保管された地積測量図などで確認しなければいけません。
境界標が判断基準にならない
境界標とは、境界の点や場所を示す標識のことをいい、素材はコンクリートや石、プラスチックや金属の杭などさまざまです。
こちらの位置は、基本的に登記上の情報と一致しますが、ブロック塀や下水管の工事により、施工業者が境界標を移動させた場合や、建て替え工事の際、建物と一緒に撤去した場合などは、境界が曖昧になり、売却に支障をきたすことがあります。
隣地の所有者が亡くなっている
隣地の所有者に立ち会いを依頼しようとしたところ、その所有者がすでに亡くなっていたというケースがあります。
このようなケースでは、相続人に立ち会いを依頼することになります。
隣地の遺産分割が終わっていない場合は、原則として法定相続人全員に立ち会ってもらわなければいけませんが、相続人が数十人いるなど、全員が揃うのは難しい場合は、代表者が確認し、他の相続人に説明してもらう方を取ることが多いです。
また、このとき使用する確認書には、法定相続人全員の署名と押印が必要なため、売却手続きが煩雑になるおそれがあります。
隣地の所有者が同意してくれない
隣地との境界が曖昧なままだと、不動産売却時に境界が特定できず、売却できないという事態に陥ります。
また、隣地境界の確定には、隣地所有者の同意が必要ですが、隣地所有者が納得せず、トラブルになってしまうこともあります。
売却時の広さと、実際測量したときの広さが大きく異なると、売主は契約不適合責任を負う可能性もあるため、隣地所有者との揉め事はなるべく早く解決しておきたいところです。
建物が越境している
越境とは、建物や塀、庭木などの一部が、敷地の境界線を越えて隣地に侵入することをいいます。
また、敷地境界については、不動産売却を行う売主と、その隣地の所有者で合意していたものの、境界確定後に建物の一部が境界を越えていたことが判明し、トラブルに発展することがあります。
ちなみに、売主は越境している部分に対し、速やかに隣地所有者に撤去を依頼できますが、越境しているのが屋根などである場合、そう簡単には撤去できません。
そのため、問題の解決にはそれなりの時間がかかります。
まとめ
ここまで、不動産売却の確定測量で起こり得るトラブルについて解説しましたが、いかがでしたでしょうか?
確定測量は、不動産売却を行うにあたって必要不可欠な作業ですが、必ずしもスムーズに進むとは限りません。
むしろ、こちらの作業がトラブルにつながり、不動産売却を遅らせる原因にもなり得るため、できる限り早めに確定することをおすすめします。