【名古屋で不動産売却】委任状を活用した不動産売却について

COLUMN

不動産売却を行う際は、通常その物件の所有者本人が売却手続きを行います。

本人に所有権があるわけですから、売却の権利も持っているのは当然のことです。

ただし、場合によっては所有者が委任状を作成し、代理人が手続きを進めるケースもあります。

今回は、委任状を活用した不動産売却のポイント、注意点を解説します。

委任状とは?

そもそも委任状とは、売主が不動産売却の手続きを第三者に委任するとき、必要な書類のことをいいます。

委任者と受任者(代理人)の氏名、当該不動産売買契約の権限などについて記載されています。

また、不動産売却で委任状が活用されるケースとして多いのは、所有者が病気やケガなどで入院しているときです。

その他、所有者が海外など遠方に居住している場合も、代理人に不動産売却を委任することがあります。

委任状を活用した不動産売却のポイント

委任状を活用した不動産売却を行う場合、以下のポイントは押さえておくべきです。

・委任内容の明確化
・実印での押印
・捨印を押さない

委任内容の明確化

委任状を作成する場合、売主は委任内容について明確に記載しなければいけません。

なぜなら、内容があやふやだと、代理人を迷わせることになるからです。

例えば、売買契約書に記載されている売買価格や手付金額、引き渡し予定日といった項目は正確に記載します。

逆に“売買契約書の通り”などと省略して記載すると、売買契約書の内容が書き換えられた場合、すべての内容が置き換わってしまいます。

実印での押印

委任状には、売却を委任する売主の押印が必要ですが、このときには実印を使用すべきです。

実印を使用する方が、買主に良い印象を与えられるからです。

実際、売主の押印には認印を使用しても問題ありません。

しかし、認印だと「この人は本当に代理人なのか」と買主を不安にさせる可能性があります。

そのため委任状には売主の実印で判を押し、さらに信頼してもらうために、売主の印鑑証明書や住民票なども添付しておくべきです。

捨印を押さない

不動産売却の委任状には、捨印を押さないようにしましょう。

捨印は、前もって文書の余白に判を押しておき、誤りが見つかったときに訂正印として利用できるものです。

本来文書に誤りがあった場合、売主本人が訂正印を押して修正しますが、代理人による売却の場合は訂正が困難な場合があります。

そのような場合を見越し、相手方で訂正してもらえるよう、前もって押しておくのが捨印です。

しかし、不動産売却の委任状に捨印を押すと、代理人による契約内容の変更が容易になります。

例えば、契約の場で売買価格などが大幅に変更されるかもしれません。

そのため、売主の思惑通りの不動産売却を実現するためにも、捨印の利用は避けましょう。

委任状を活用した不動産売却の注意点

委任状を活用した不動産売却は、誰でも可能なわけではありません。

例えば認知症や精神疾患を患っている売主は、判断能力が不十分であることから、委任状による不動産売却ができなくなっています。

委任状は、あくまで売主の意思によって作成され、その内容に沿って代理人が粛々と契約行為を進めるためのものです。

そのため、売主の判断能力が不十分だと、委任状の内容に売主の意思が反映されているかが判断できません。

売主の判断能力が欠落している場合、家族などの任意代理人ではなく、成年後見人などの法定代理人が売主に変わって不動産売却を行うことになります。

まとめ

委任状を活用して不動産売却を行うケースは、決して多いわけではありません。

しかし、言い換えれば誰しもに行う可能性がある方法だと言えます。

また、委任状に正式なテンプレートはありませんが、記載し忘れると契約に支障をきたす項目が数多くあります。

そのため、売主はたとえ忙しくても、じっくり時間をかけて委任状を作成する必要があります。