不動産売買契約が成立した後、売主は当該物件を買主に引き渡す準備を行わなければいけません。
しかし、場合によっては引き渡しが遅れてしまい、なかなか不動産売却が完結しないことがあります。
では、不動産売却で物件の引き渡しが遅れると、一体どうなってしまうのでしょうか?
売却物件の引き渡しが遅れる原因
売主は、定められた期日までに買主へ物件を引き渡す必要があります。
しかし書類関係の手続きが遅れてしまったり、新居への引っ越しに時間がかかっていたりする場合、引き渡しが遅れる可能性があります。
また売却物件の鍵を紛失することや、新居が注文住宅の場合は完成に時間がかかっていることなども、遅れの原因になります。
もし引き渡しが遅れてしまうと、買主は当然購入した物件に入居できないため、多大な迷惑をかけることになります。
引き渡しが遅れるとどうなるのか?
売却物件の引き渡しが遅れた場合、まず注意したいのは違約金です。
不動産売買契約で遅延時の違約金について定められている場合は、その金額を買主から請求されることになります。
このとき発生する違約金は、一般的に売買価格の10~20%に設定されることが多いです。
ちなみに、債務不履行を理由として、契約解除になる可能性もゼロではありません。
しかし、実務上はよほど長期間の遅延ではない限り、契約解除にはなりません。
それでも、買主が被害を受けていることは事実であるため、売主は早急に対処する必要があります。
引き渡しが遅れた場合の対処法
売却物件の引き渡しが遅れると予想される場合、売主はなるべく早い段階で引き渡しの期日延長を買主に申し出ましょう。
双方の合意があれば、期日を延ばすことは可能です。
ただし、このときには覚書を作成する必要があります。
覚書は、契約の当事者間で合意した重要事項を書面化したものです。
作成するにあたっては、売主・買主の署名と捺印が必要になり、こちらは契約書と同じ効力を持ちます。
ちなみに覚書を作成しなければいけない理由は、追加の合意内容や重要事項が発生するたびに、売買契約書をつくり直して締結するのは手間がかかるからです。
まとめ
売主が売却物件の引き渡しを遅らせる行為は、買主が期日になっても売買代金を支払わないのと同じようなものです。
そう考えると、いかに重大な違反を行っているかがわかるかと思います。
もちろん、新居の完成が遅れるなど、売主自身では避けられない問題もあります。
それでも、できる限り引き渡しが遅れないように、余裕をもって期日を設けるなどの事前対策は必要だと言えます。