不動産売却時、売主はなるべくトラブルを避けるために、不動産の知識や売買における流れなどを事前に把握しておかなければいけません。
もしトラブルが起こったら、売主が何らかの形で責任を負わされることもあるため、注意してください。
今回は、不動産売却における住所関連の注意点について解説します。
地番と住居表示の混同
不動産の売却活動や登記手続きでは、私たちが普段郵便物などで使っている住所(住居表示)と、法務局で管理されている土地の番号である地番を使い分ける必要があります。
住居表示は建物に付与される番号ですが、売却の対象となるのは地番で特定される土地の権利です。
特に古い分譲地や農地転用が行われた土地では、一つの住居表示の中に複数の地番が混在していたり、隣地の一部が自分の地番に含まれていたりと、複雑なケースがあります。
査定や媒介契約の際にこれらを混同すると、売却対象範囲に漏れが生じ、後に契約不適合責任を問われるリスクがあります。
正確な売却範囲を確定させるため、必ず法務省の登記所で取得できる登記事項証明書を確認し、公図と照らし合わせて物件の所在地(地番)を正しく把握することが不可欠です。
登記上の住所と現住所の一致
売却契約から引き渡しを行う際には、登記簿に記載されている売主の住所と、現在の住民票の住所が一致していなければなりません。
過去に引っ越しをしたにもかかわらず、不動産を購入した当時の住所のまま登記を放置しているケースは非常に多く見られます。
住所が異なる場合は、移転登記の前提として住所変更登記を行う必要があります。
この手続きには、旧住所から現住所までのつながりを証明する住民票の除票や戸籍の附票が必要です。
何度も転居を繰り返している場合、書類の保管期限切れなどで証明が難しくなり、手続きが煩雑になるおそれがあります。
また令和8年4月からは、不動産登記法改正により住所変更の登記申請が義務化されるため、登記状況を確認し、必要書類を揃えておくことがスムーズな取引のポイントです。
物件情報の囲い込みと広告表記の注意点
売却を依頼する際、物件の具体的な住所がどのように広告されるかは重要です。
一部の悪徳な不動産会社では、自社で買主も見つけて両方から仲介手数料を得るために、他社に情報を公開しない“囲い込み”という不適切な行為を行うことがあります。
これにより、物件の露出が減り、売却のチャンスを逃すリスクが生じます。
またネット広告などで住所を詳細に掲載するか、あるいは“〇〇市〇〇町”までにとどめるかは、内覧希望者の質やプライバシー保護の観点から戦略的に決めるべき項目です。
住所が詳細に公開されると、購入検討者が勝手に見学に来てしまい、近隣トラブルに発展するケースもあります。
そのため、不動産会社とはレインズへの登録状況や、広告における情報の出し方を事前に打ち合わせ、透明性の高い売却活動が行われているかをチェックすることが大切です。
まとめ
不動産売却では、今回解説した住居表示や地番など、普段はあまり聞き慣れない用語が次々に現れます。
これらの用語の意味を理解し、不動産売却時に正しく使い分けることで、売主はトラブルに巻き込まれるリスクを軽減できます。
またここでいうトラブルには、買主とだけでなく、売買を仲介してもらう不動産会社とのトラブルも含まれています。
