不動産売却では、一つの物件だけでなく、複数の物件をまとめて売却するというケースもあります。
こちらは稀なケースですが、例えば大地主の両親を亡くした場合などは、あらゆる物件を相続し、これらをまとめて売却することがあります。
今回は、複数物件の不動産売却におけるポイントを解説します。
売却の優先順位とタイミングの決定
複数の物件を売却する際は、すべての物件を一時に売り出すのか、あるいは時期をずらして段階的に市場へ投入するのかを見極める必要があります。 同じエリア内にある物件を同時に何棟も売り出すと、自らの物件同士が競合してしまい、買い手から値切られる原因になるため注意が必要です。
まずは各物件の立地や築年数、収益性を客観的に評価しましょう。
その上で、市場での需要が高い優良物件から順に売却を進めるか、逆に売れにくい不人気物件を優良物件と抱き合わせにして投資家向けに一括売却する戦略を検討します。
早期の現金化が最優先なのか、時間をかけてでも売却益を最大化したいのかという全体のゴールを明確にした上で、1月~3月に焦点を当てて最適な売り出しスケジュールを組むことが成功への鍵です。
税金対策と特例の最大活用
複数物件の売却では、利益に対して課される譲渡所得税の負担が非常に大きくなるため、税制上の特例をいかに賢く適用するかが極めて重要です。
例えば、マイホームを売却した際に最大3,000万円まで控除できる特例がありますが、この特例は前年や前々年に同じ適用を受けていると利用できません。
そのため、自宅と投資用物件などを複数同時に売却する場合は、引き渡しの年をあえてずらすといった綿密なスケジュール調整が必要になります。
また個人の不動産売却では、一つの物件で出た売却損を他の物件の売却益と相殺する損益通算が原則として認められていません。
売却総額が大きくなる場合や、多くの投資用物件を整理する場合は、個人から法人名義へ物件を移管して法人税率を適用させるなど、税負担を抑える取り組みが必要です。
パートナー選びと窓口の一本化
複数の物件を効率的に、かつ有利な条件で売却するためには、媒介契約を結ぶ不動産会社の選定と情報管理の集約が成否を分けます。
物件が異なるエリアに点在している場合、そのすべての地域に対応でき、かつ居住用や投資用といった異なる物件種別の売却ノウハウを持つ会社を選ぶ必要があります。
物件ごとに別々の不動産会社へ売却を依頼してしまうと、書類の管理や購入希望者とのスケジュール調整の手間が倍増し、売主側の意思決定の遅れにつながりかねません。
信頼できる一社に窓口を任せることで、すべての物件の進捗状況を中央管理してもらうのが理想的です。
また複数物件の売却をまとめて一社に一任することを条件にすれば、仲介手数料の割引や、売却に必要な測量費用の優遇などを有利に交渉しやすくなるメリットもあります。
まとめ
冒頭でも触れた通り、大地主の親からの相続などでは、思いがけず複数の物件を手に入れることがあります。 これらは放置しておくと資産価値がどんどん低下する上に、倒壊などのリスクが高まりますし、固定資産税などの税金も発生します。 そのため、特に使用する予定がないのであれば、面倒であっても早めに売却することをおすすめします。
